FXにおいてパラボリックSARとは、テクニカル指標のひとつで、英語で放物線のことを意味します。その名のとおりSAR(ストップアンドリバース)という指標点がチャートの上または下に放物線のようなラインを描き、相場のトレンドの転換点を見極めるのに有効です。パラボリックの点と実際の相場価格が交差したポイントが売買シグナルとなります。チャートがSARにタッチすると、トレンドが逆転するサインです。SARは上昇トレンドのときは、チャート下に表示され、反対に下降トレンドのときは、チャート上に表示されます。たとえば、チャート上にあったSARがチャートに触れるまでは下降トレンドが継続し、ローソク足にタッチするとSARが下側に表示され、上昇トレンドの転換と判断できます。
パラボリックにおけるSARは以下のように計算します。
SAR = 前日のSAR + AF ✕(EP - 前日のSAR)
AFとはAcceleration Factorの略で加速因子の意味、EPはExtreme Pointの略で極大値あるいはエクストリーム・プライスと呼ばれる期間中の最大値を意味します。以下で詳しく解説していきます。
▷AF
AFとは加速因子と呼ばれるもので、初期値・最大値を設定し、パラボリックの感度を決めるものです。パラボリックSAR考案者のJ.W.ワイルダー氏が推奨する値は以下です。
初期値:0.02
最大値:0.2
数値を大きくすると感度が大きくなり、小さくなると鈍くなります。数字が大きすぎるとだましが発生する可能性が高まり、小さすぎると変化への反応が遅くなります。そのため上記の値が最適値とされています。AFは新高値/新安値を更新すると初期値の分だけ増加し、最大値を上回ることはありません。
▷EP
EPは上昇トレンド中においては、その期間中の最高値を示し、下降トレンド中においては、その期間中の最安値を示します。トレンド中の最高値あるいは最安値の意味です。
パラボリックSARは、トレンドの転換点を見極めるだけでなく、ドレンドの判定や強弱を測るのにも活用できます。冒頭でも述べたように、ローソク足の下にSARの放物線が描かれているときは上昇トレンド、ローソク足の上にあるときは下降トレンドと判断できます。またSARそれぞれの点の間隔はトレンドの強弱を表します。SARの点の間隔が広いほど強いトレンドで、狭いほど弱いトレンドということを示しています。このようにパラボリックSARはトレンドに関する情報を、視覚的にわかりやすく表示してくれるテクニカル指標です。
しかしパラボリックは大きなトレンドを形成している相場においては有効と言えますが、レンジ相場など動きの少ない相場ではあまり有効ではありません。レンジ相場においては、パラボリックSARなどのトレンド系指標ではなくオシレーターの指標のほうが効果的です。短期間の間に価格が上下するレンジ相場になるとだましに引っかかってしまう可能性もあるため、転換サインが出てもすぐに飛びつかないようにしてください。
MT4におけるパラボリックSARの設定方法は以下のとおりです。
-
- MT4上部のツールから「挿入」を選択。
- 「インディケータ」→「トレンド」から「Parabolic SAR」をクリック。
パラボリックSARを活用したEAや裁量トレードは、ロジックは非常にシンプルです。
トレンド転換点 | トレンド | エントリーサイン |
---|---|---|
SARがローソク足の下から上に交差 | 上昇→下降 | 売りエントリー |
SARがローソク足の上から下に交差 | 下降→上昇 | 買いエントリー |
トレンド転換点 | トレンド | 決済サイン |
---|---|---|
SARがローソク足の下から上に交差 | 上昇→下降 | 売りサイン |
SARがローソク足の上から下に交差 | 下降→上昇 | 買いサイン |
MT4のEAにおいても裁量トレードにおいても、パラボリックSARはトレンドが長期間続くときには有効ですが、レンジ相場となった場合はEAを停止したり、別のテクニカル指標を併用して判断したりするのがよいでしょう。
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